可能性を引き出す「できない」を「できる」ようにするための練習法

何か新しいことに挑戦する時、初めはうまくできないことが多いと思います。試合に出ている方ならば、課題をたくさん目の当たりにしているかもしれません。その時の心境はどうでしょうか?もしかしたら課題に取り組む過程で、「自分には無理だ」と感じたり、「どうすればいいか分からない」と思ったりするかもしれません。
しかし、心配しないでください!「できない」を「できる」に変えていくように練習を行い、一つ一つクリアしていけば、大きな目標も達成することができます。そのための練習法を一緒に考えていきましょう。

1. できている状態を知る

まず最初に行うべきは、「できている状態」を知ることです。
たとえば、テニスのストロークを考えてみましょう。「打点が安定しない」ことが課題だとしたら、どこが正しい打点なのか、理解できていなければ、もしたくさん練習したとしても、何がよくて何が悪いのかがわからないので、修正ができません。
スイングであれば、どのようなスイングがしたいのか、スイングの何が課題で、どうなるとOKなのか、がわかっている必要があります。

まず最初に、どのような状態が「できている状態」なのかを、自分で明確になるようにしましょう。

2. できている状態が、少し出来ていない状況を作る

できている状態が明確になってくると、少しでもその状態を作り出すために、やみくも練習しがちです。ですが、そこで一気に難易度をあげて練習をしてしまうと、ただ「練習を沢山した」という満足感に終わってしまい、実際にはあまり上達していない、ということになってしまいます。
というのも、たとえば、「打点が安定しない」課題のときには、ボールがどこに来るか、という「判断」の課題と、そこに移動するという「動き」の課題が原因のケースがあります。このときに、簡単なボールでもなかなか打点が安定しないのに、振り回しやラリー練習をすると、「判断」と「動き」の両方の課題が露呈し、どちらにも集中できず、どちらも十分に改善されずに、ただボールを追うのに精一杯になり、改善されないまま、たくさん練習をした満足感だけに終わってしまいます。、このようにある課題に取り組むときでも、複数の原因がある場合が多々あるので、一気に難易度を上げてしまうと、どの原因もきちんと改善されないということになってしまいます。

ここで小さな習慣を参考に、練習を組み立ててみましょう。

できている状態が明確になったら、今度はその「できている状態」が、少しできにくい状況を作り出すことです。
たとえば、「打点が安定しない」ことが課題で、ラリーのように、「いつどこに来るか分からない状態」で練習をすると打点が安定しなくなってしまうのであれば、まずはシンプルな球出しで、「どこにボールが来るかわかっている(=判断が求められる)」状態で、かつ、「あまり色々なところにボールが来ない状態(=動きが求められる)」で、練習に取り組み、それができるようになってきたら、そこから、動きの負荷をあげたり、判断の負荷をあげていきましょう。

このときに「少しできにくい状況」というのがポイントになります。あまりに難易度が高い練習を行い、できていない状況を作ってしまうと、練習をしているけれども、改善はされずに、時間ばかり浪費されてしまうことになるので、練習の工夫をして難易度を調整してみるようにしましょう。

上達の法則 には、このように指摘されています。

従来やっていた訓練の方法や、自分の先生から受け継いだ訓練の方法をもとにしながらも、訓練法を改善する努力をしてみることは、訓練そのもの以外にも有用である。訓練法を考えるときは、はっきりとした部分的な目標があることが多い。
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そのような目標の明確化がなければ、訓練の方法を考えることはもともとできない。

どうしても、成果結果を出すことに焦りを感じていたり、あるいは激しい練習や難易度の高い練習をしたほうが自分が鍛えられるように感じてしまいますが、自分の課題や原因を突き詰めながら、練習の意図や目的、そして「できた」という基準を明らかにしたり、試行錯誤して取り組みながら、「少しできていない状況」が作れる、地味でもしっかりと自分の課題に向き合うことができると、上達への道のりが見えてきます。

3. 少し出来ていない状況で、できるようにするために動きを意識しながら練習する

そして、「少し出来ていない状況」の練習も、ただ単に数をこなせばできるようになる、というものではありません。
「少し出来ていない状況」でたくさん練習をしたとしても、もし出来ていない状況が繰り返されてしまったら、新しい良い動きは獲得されません。

この「少し出来ていない状況」の練習の中で、「できている状態をいかにたくさん作り出す」か、が重要になります。この段階では、自分の体にどのように身体を動かすよう司令を出していくか、意識的に考えながら練習していくことが求められます。

そのときには、いま取り組んでいる課題以外のことは気にせずに取り組むことが大切で、他のこと、たとえばミスやエラーを気にしてしまうと、原因から意識がそれてしまうので、体はこれまで通りの動きを再現して「出来ていない状態」が作られてしまいます。
こちらでも紹介している通り、失敗しても良い、という環境や姿勢で練習に取り組むようにしましょう。

まとめ

できないことをできるようにしていく練習は、決して簡単なものではありません。しかし、練習を工夫して取り組むことで必ず道は開けます。最初はできなくても、少しずつ自分の成長を感じ取ることで、最終的には「できる」自分を手に入れることができるのです。

さあ、皆さんも今日からできないことを解消するためのステップを踏み出しましょう!毎日の小さな努力が、未来の大きな成果を育ててくれます。あなたの成長を楽しみにしています!

参考文献:
小さな習慣 スティーヴン・ガイズ (著),

上達の法則 効率のよい努力を科学する 岡本 浩一 (著)

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