スポーツ選手にとって、目標への道のりは決して簡単なものではなく、プレッシャーや困難から言い訳をして諦めてしまうケースが少なくありません。言い訳は、自己保身や失敗を避けるための心理的な逃げ道ですが、これを乗り越えることが目標達成には不可欠です。本稿では、言い訳をして目標を諦める例を紹介しながら、「根性論や意志力に頼らない行動科学が教える目標達成のルール」に基づいて、目標に対するコミットメントの方法や考え方を考察します。
スポーツ選手が目標に取り組むときの言い訳や理由
スポーツ選手は、高い目標に挑み、自らを成長させるよう取り組んでいきますが、当然それは簡単なものではなく、そこには「言い訳」をする、という障害が出てきます。よくあるケースを紹介していきましょう。
1. コンディションを理由にするケース
自分のコンディションを理由に練習を怠ることがあります。例えば、「今日は疲れが溜まっているから練習は休もう」といった具合です。体調管理は重要ですが、必要な時に自分を律することができないと、練習不足が続き、最終的に目標達成が遠のいてしまいます。また、練習を休むことは、あなたが設定した目標までに鍛錬を積む時間が少なくなることを意味します。
2. チームや環境の影響
他のチームメイトの実力が高すぎる場合や低すぎる場合、コーチとの相性が悪い場合、練習環境の要因等を、自分ができない理由にすることもよく起こります。「このチームでは自分が成長できない」「十分な練習時間が確保できない」と考えることは、「できない理由」としては最もらしいですが、完璧な条件は存在しないと同時に、「できない理由」を探す姿勢ではどんなに条件が整っても「できない理由」を探し出そうとするでしょう。
3. 才能や経験の不足
新しいスキルを学ぶ際に、「自分には向いていない」「運動神経が悪い」「経験がない」といった才能や経験を理由にすることも多いです。才能は、自分にはコントロールできない要因なので、うまくいかない理由をそこに見出すと、結果も自分にはコントロールできないので達成できなくても致し方ない、自分のせいではない、と、自分を守ることができます。
行動科学が教える目標達成のルール
では、目標に対して言い訳をせず、達成への道のりをしっかり歩むためにはどうしたらよいのでしょう。「根性論や意志力に頼らない行動科学が教える目標達成のルール」から目標の作り方について紹介しましょう。
目標を小さく分解する
目標達成のためには、目標を小さく分解することが効果的です。大きな目標をそのまま追いかけることは、最初や夢や野望に満ちあふれたエネルギーのこもった状態でスタートできますが、しかし取り組むうちに現実に直面し、その困難さからモチベーションの低下や挫折を招くことがあるからです。
まずは、最終目標を明確にした後、その目標を達成するために必要なステップを具体的にリストアップします。例えば、「マラソンを完走する」という大きな目標がある場合、「週に3回ランニングをする」「5kmを30分以内で走る」というように、小さな目標に分解します。
この方法のメリットは、達成感を得やすいことです。小さな目標をクリアすることで自己効力感が高まり、次のステップへの動機付けが強化されます。また、具体的な行動に落とし込みやすく、進捗を測る際にも的確です。定期的に目標を振り返り、必要に応じて調整することで、フレキシブルに対応しながら達成に近づくことができます。したがって、目標を小さく分解することは、成功への確実なステップとなるのです。
小さい目標を作ることのメリット
小さな目標を作ることで、目標への道のりを明確にするだけでなく、「小さな挫折」「未熟な自分」を目の当たりにすることができます。ですが、まだ本番が来ていないので、改善を行うことができますし、間に合わせることができるのです。そこから挽回し、改善への道のりを歩み始みましょう。
小さな目標を達成できない時
では、達成できなかった時、どのようにしていけばよいのでしょうか?
一つの方法は、目標をチャンキングして、さらに分解し、実現可能なものにまで落とし込んでみましょう。
その際に、当初設定したコミットメントに対して、どのように取り組んだか、取り組み方の何を改善すべきだったか、振り返ってみましょう。
どのような言い訳を立てていたか、どのような弱さが自分にあるのか、振り返り、それをまた目標や意識することに追加して取り組んでみましょう。
まとめ
目標達成は、根性や意志力だけでなく、行動科学に基づいた具体的なアプローチが重要です。言い訳をすることは自分にとって優しいですが、それを乗り越え、明確な目標設定、小さな行動の積み重ね、フィードバックを取り入れることで、スポーツ選手は目標に近づくことができます。今こそ、言い訳を手放し、自らの夢や目標に向けて、一歩踏み出してみましょう。