打ち方やフォームがなかなか改善しないときの取り組み方

スポーツにおいて、選手が求める結果を出すためには、技術的な要素が欠かせません。たとえば、テニスにおけるサーブやバドミントンのスマッシュは、腕の振りや体の使い方によってその威力や精度が変わります。打ち方に無駄があったり、正確さが低いと、ボールに力が伝わらなかったり、ミスが多くなります。ですが、なかなか打ち方やフォームが改善しない、という方も多いと思います。ここでは、なぜ打ち方やフォームがなかなか変わらないのか、どうしたらよいのか、その考え方について探求していきます。

打ち方がなかなか変わらないときに起こっていること

選手が打ち方やフォームを改善しようと試みても、なかなか変化が見られないことがあります。この状態は、主に以下の要因によって引き起こされます。

1.クセとして根付いている動作プログラム

小さい頃からの練習や習慣が体のクセとしてプログラムのように根付いており、自分では変えているつもりでも、実際には変化が生まれていない場合があります。

2.一時的に生まれる「失敗」への恐れ

これまで培ってきたフォームや打ち方で、ある程度できるように調整がされているため、何かを変えると一時的にその調整が崩れ、うまくいかない、入らない、といった事態が起きます。それを選手は、「これではダメだ」と捉えて、改善をやめてしまうケースがあります。

3.これまでの正しさとの矛盾

例えば、これまで習ってきたこと、習得してきたことと、新しく覚えるべきことの間に矛盾が生まれるときがあります。

打ち方やフォームは、考え方や性格が影響している?

最近の研究によると、打ち方やフォームは、選手の考え方や性格にも影響を受けることが示唆されています。

Mind to move: Differences in running biomechanics between sensing and intuition shod runnersによると、個々のパーソナリティ特性が運動動作における動きやスタイルに関与していることが報告されています。具体的には、ある性格特性を持つ選手が、特定の動きやフォームを好むことが明らかになりました。たとえば、外向的な性格の選手は自己主張や積極性が高く、よりアグレッシブな打ち方をする傾向がある一方で、内向的な選手はより慎重で繊細な打ち方を好むことが観察されています。これは、性格がどのように選手の運動パターンに影響を与えるかに関する新たな視点を提供しています。

このように考えていくと、動きを変えようとする時、直接的に「動きを変える」というアプローチを行う一方で、「考え方」や「捉え方」を変えることで、動きを変える、というアプローチも試みてはいかがでしょうか。

考え方と打ち方・フォームの関係の例

例えば、「きっちりやらなければいけない」と考えている選手がいたとしましょう。この選手はどういった打ち方やフォームをしていそうでしょうか。

おそらく、力が抜けた動き、というよりかは、少し力が入っているけれども、打ち方自体はきれいなフォームである、と想像できるのではないでしょうか。
逆に、こういった打ち方やフォームをしている選手を見たら、もしかしたら根底に「きっちりやらなけれいけない」と考えているかもしれない、と推測することができます。

考え方が変わり、打ち方が変わる例

例えば、こんな風に変化が生まれるかもしれません。

あなたがテニスに取り組んでいたとして、一所懸命力いっぱい取り組んでいて、「自分が頑張り、努力をすることが、良い結果につながる」と考え、その考え方に基づいて、ショットを打つときにも、自分が力をいれることでそれがボールに伝わる、と信じて、力を込めて打っていました。

ですが、結果として動きには力みが生まれ、スイングがスムーズではなく、せっかくの力がボールに伝わっていませんでした。

そこには、頑張り、力をいれるのは「自分」であって、「道具」「ラケット」に伝わっているかどうか、「道具」「ラケット」に力が生まれているかどうか、のほうが大事であって、道具やラケットに力が生まれていたら自分は頑張っていなくても良い、という視点が抜け落ちているかもしれません。

しかし、たとえば、「自分」が主体ではなく、「道具」「ラケット」が主体であって、自分はそれをサポートする、という考え方に変化したとしたら、そこで一気に力が抜け、打ち方が変わっていく可能性があります。

まとめ

打ち方やフォームを改善する際には、技術だけでなく、考え方や性格が影響を与えている、という視点も取り入れてみましょう。もし、なかなか変化を感じれないときは、自身の思考パターンを見つめ直すことで、変化が生まれ、最終的には良い結果につながるかもしれません。

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