ストロークやサーブのフォームをきれいなフォームで打つためには、どのように取り組めばよいのでしょうか？きれいなフォームとはどんなフォームか、そして、きれいなフォームで打つために、どのように意識すると自然で美しいスイングになるのか、考えていきましょう。
きれいなフォームを考える
まず、『きれいなフォーム』とは、どのようなフォームなのでしょうか？
たとえばフェデラー選手のフォアハンドを『きれい』と言う方もいると思いますし、錦織選手のフォアハンドを『きれい』と言う方もいるでしょう。
では人によって、『きれい』と感じる点は異なるのでしょうか？
確かに、フォームの好き嫌いといった部分はあると思いますが、例えばテニスを初めたての人と、プロの選手では、ほとんどの方がプロの選手のほうが「きれい」と感じることでしょう。ということは、ある程度誰もが『きれい』と思うフォームというのはあると考えられると思います。
それは、『自然な動き』であったり、無駄のない動き、スムーズな動きに対しては、多くの人が『きれい』と思うのではないでしょうか？
ストロークにおける自然な動きとは？
では、テニスのストロークやサービスにおける自然な動きとはどんな動きなのでしょうか。
それは、動きによどみが無く、力が流れるように動いている、ということができると思います。
それでは力が流れるように動く、とはどういうことなのでしょうか？
ここからは、運動に関する動作を分析した資料から、整理をしていきたいと思います。
「スポーツ動作学入門」では、道具を使った運動の動作について以下のように解説されています。
打具を用いるときには、手の握りの部位を軸に打具の回転運動を起こし、打点のスピードをさらに増加する動作がみられる。
身体の各部位から生じて加重したスピードを利用して打具に伝え、振られた打具のスピードアップにつなげるためには、打具を握る手の働きが大切になる。
そして、ゴルフを例に道具（打具）を利用した動きとして二重振り子の動きについて次のように解説されています。
ヘッドのスピードを高める振り方のコツは、二重振り子のように上肢とクラブ（編集部注：テニスの場合はラケット）を関係づけて振ることである。一つの振り子の腕は上肢であり、蝶番の役割をするのはグリップの部位である。そして、クラブ（ラケット）がもう一つの振り子の腕となる。
テニスに置き換えて整理してみると、身体の各部位から生じて加速したスピードが腕に伝わるようにし、そして腕とラケットを二重振り子のように使うことで、ラケットのスピードアップにつなげる、という形が理想の動きになるでしょう。
さらに、書籍の中ではゴルフのおいて解説されている動きをテニスに置き換えて整理してみます。
①振り出しの局面では、振り出した勢いでラケットの重さは腕の負担ではなくなり、グリップはラケットが飛び出さないように、その遠心力に対抗して引き付けていくだけでやや力を抜くことができる。
②さらにスイングが加速し、遠心力に対抗するため、ラケットが手から離れないように工夫し、手首の関節の力を抜いてこれまでのラケットの回転運動にブレーキをかけないようにする。そこで、腕の回転を止める。
③すると、ラケットヘッドはさらにスピードを増し、ボールと衝突する。
ここまでで、理想の動きについてはなんとなくイメージができてきましたでしょうか。
ですが、理想の動きが理解できても、それを実現できるかどうか、が大事です。
それでは、どうしたらそれが実現できるのか、何がきれいなフォームの実現を邪魔するのか、考えてみましょう。
二重振り子の動きできれいなフォームを
理想としての動きを実際に身体でどうやって体現できるか、考えてみましょう。
振り子の動きを考えたときに、振り子は振り子の重みだけで動きを作りだしていることがご理解いただけると思います。
ということは、実際に動きを作るときにも、同じような力の使い方（力の抜き方）で取り組み、ラケットの重みやラケットの振り回される力だけでスイングをすることで、きれいなフォームを実現できると言えます。
まずは、このラケットの重みや振り回される力を感じながら、取り組んでみましょう。
そして、ラケットの重みや振り回される力を感じてきたら、今度は同じような取り組み方で、腕とラケットが振り回される力を感じるようにトライしてみましょう。
身体で生んだ力やスピードを利用した力は、腕とラケットに遠心力として伝わることで、腕とラケットが滑らかな動きを行い、きれいなフォームとなります。
そこで、腕に力が入ってしまうと、その滑らかな動きが邪魔をされてしまうわけです。
ですので、腕の力を抜き、その重さや遠心力を感じるような動きを作り出してみましょう。
例えば、まずはボールを打たずに、素振りでスイングを取り組んでみるのが良いと思います。すると、ラケットが自然な動きを作り出し、きれいなフォームで振りやすい状況が作れます。最初は、ボールを打たずにきれいなフォームが作れるようにトライしてみましょう。
このときにラケットや腕の重さや振り回される力を感じれるように取り組んでみてください。
ラケットを操作する感覚を見直す
原理としては、二重振り子や力を抜くことが理解できた方も、どういう感覚か、何が正しいのか、わかりにくい方もいらっしゃるかもしれません。
そのような方は、もしかしたら「ラケットを操作する」感覚であったり、あるいはスイングの軌道を作ろうとしたり、ラケットの動きを作ろうとしたりして、スイングをしているかもしれません。
振り子の動きを想像していただくとお分かりになるように、振り子の動きは、ただその重さだけで動いています。振り子自体が動く軌道を考えたり、動き始めたりはしていません。
同じように、ラケットを振るときにも、例えば「フォロースルーはこの位置に」「打点に向けてラケットを持ってくる」「スピンをかけようと下から上に」というように、操作をしようとすると、そこに力が働いてしまうので、自然な動きが邪魔をされてしまいます。
振り子の動きのように、ラケットや腕が、ただ振り回されるのに任せるように、動きを行い、その動きを感じてみましょう。
もしも思い当たる方がいらしたら、こういった視点も取り入れてみてください。詳しくはこちらも参考にしてください。
まとめ
今回は、テニスに取り組む時のきれいなフォームについて解説してきました。
きれいなフォームで打てるようになるためには、二重振り子の動きを理解し、腕の力を抜いて、ラケットや腕の重みを感じれるようにトライしてみましょう。もしもわかりにくい方は、操作しようとしたりスイングの軌道を作ろうとせず、ただラケットや腕に任せるように動きを作り、きれいなフォームを手に入れましょう。
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