
テニスにおいて、サービスは試合の流れを大きく左右する重要なプレーです。その中でも特に、トスの位置が原因でサービスがあまりうまく使えていない方が多くいらっしゃいます。この記事では、トスの位置がどのように決まるか、そしてその位置を確認するための段階的な練習方法について詳しく解説します。
身体の仕組みに基づくトスの考え方
まず、打点と身体の動きの関係を理解しましょう。
テニスは、ラケットという道具を使い、ボールを打つスポーツです。
速いボールや強い回転のかかったボールを打つためには、ラケットのスイングスピードができるだけ速くできると、それだけ強くボールを打つことができます。
速いスイングは、「振りやすいスイング」「楽なスイング」と言うこともできます。
打点を考えるときに、まずこの自分が最もスイングスピードをあげられるスイング、振りやすいスイング、楽なスイング、はどのようなものか、を確認してみましょう。
そして、そのスイングの中でボールを打つ、スイングの中にボールが入ってくるようにしてボールを打つ、という形で考えましょう。
ストロークにおいてもサービスにおいても、基本的な考え方は同じですが、特にサービスは、自分の都合でボールを打つ位置を決めることができます。
できるだけ振りやすい場所でボールを打つ、ということをまず理解しましょう。
参考:きれいなフォームで打つための意識の仕方とは?
サービススイングとトスの関係
テニスはネットが邪魔なスポーツなので、できるだけ高いところからボールを打てることができれば、簡単にネットを越すことができます。
そのため、トスの位置を理解するための最初のステップは、ラケットをできるだけ高いところで、かつ、できるだけラケットを速く振れる場所を確認するようにしましょう。
(そのようにすると、自然に利き手をできるだけ高く上げ、ラケットを高いところに伸ばした、肩より少し前あたりが、速く振れる場所になると思います)
まずは、この位置を確認したうえで、この場所に来るようにトスをあげ、結果としてスイング軌道の中に入ってくるように取り組みましょう。
つまり、振っていく腕の軌道が崩れてしまうと、スイングが崩れてしまい、結果として高くない場所や、速く振れていない場所で打つことになってしまいます。軌道の中にボールが入ってくるようにトスをあげましょう。
トスの位置を確認するための練習法
次に、トスの位置を分かるようにするための段階的な練習方法について解説します。
1. 素振りをしながらトスの位置を確認する
まずは、素振りを行いながら、トスの位置を確認しましょう。素振りをすることで、トスの正しい位置を身体に覚えさせることができます。適切なトスの位置を確認するためには、次のポイントを意識しましょう。比較的ボールの前後左右の位置は理解できている方が多いのですが、高さがあまり見極めができていない方がいらっしゃいます。特にどのくらいの高さをスイングが通っているか確認します。
また、後ほど解説しますが、ボールを打ちに行くときは、ボールに向かって振りにいこうとするとスイングが崩れてしまい、ボールに合わせたスイングになります。素振りの段階で、ボールがあるつもりで振ることで、スイングの中にボールがある、という感覚を養うことができます。
この素振り練習を何度も繰り返すことで、徐々にトスの位置とスイングする感覚が身についてきます。
2. 空中でトスの位置が分かるようにする
次のステップでは、ラケットを出したり、スイングをせず、構え(トロフィーポーズ)の状態で、空中でトスの位置がわかるようにしましょう。そして、もしわからない場合やあいまいな場合は、再度素振りをしながらトスの位置を確認しましょう。空中でトスの位置が明確にわからなければ、あげたトスが正しい位置にあるかどうか、見極めることができません。
3. トスを上げた後の確認
最後のステップは、実際にトスを上げた後、その位置を確認する習慣を付けることです。トスが上がった後、理想の位置に来ているかどうかをチェックします。トスは何度でもやり直しが許されています。ですので、ズレたらやり直せばよいのですが、ズレていることが気づけなければやり直しができません。まずは、ズレに必ず気づくことができるように、トスを確認する習慣をつけましょう。
トスの位置で悩む方のケース
ここからは、トスの位置で悩む方が陥りやすいケースを紹介したいと思います。
ズレたトスを打ってしまう
トスがズレても、それを打ってしまっていませんか?
その場合、「ズレたトスに気づいていない」か、あるいは「このくらいのズレならいいや」と思っているケースがあります。
ズレたトスに気づけていない場合は、先に書いたように、必ずトスの位置がズレていないかを確認する習慣をつけてみてください。
そして、サービスが上手な人は、レベルが高くなればなるほど、位置に対する感覚が鋭くなり、精度高く打点の位置を捉えていきます。極端なことを言えば、『ミリ単位』でずれがないように意識しています。一方で、まだ発展途上中の人は、それが大まかである傾向が強いです。人によって異なるとは思いますが、『cm単位』であったり、『5cm単位』であったりするでしょう。
もしあなたが、さらに上のレベルを目指したい、もっと良いサーブを打てるようになりたい、と思われたら、今よりも1/10のずれに気づけるようにトライしてみましょう。たとえば、5cm単位で捉えている方であれば、5mm単位で、1cm単位で捉えている方であれば1mm単位です。このくらいの精度で捉えられるように取り組んでみてください。
今のあなたの当たり前である距離感の捉え方を大きく変えていくことによって、トスの位置に対する感覚が正確になっていきます。
打点が低くなってしまう
いざ、ボールを打とうとすると、理想のトスの位置よりも打点が低くなってしまうケースがあると思います。
その場合、高い位置でボールを打つのに抵抗を感じているかもしれません。高い位置にトスを上げると、ラケットにボールが当たらないのではないか、という不安から、ボールが落ちてくるまで待ってしまうケースもあると思います。
このような方は、トスを上げたら、そのまま素振りをするような感覚で腕を振り抜きにいってみましょう。ラケットにボールを当てに行こうとするのではなく、そのままブルンと腕を振り抜きに行くようにしてみましょう。
ここで空振りをしてしまってもかまいません!周りの目は放っておきましょう。その振り抜いたスイングでボールが打てるように、振り抜きに行くタイミングを見極めるようにしましょう。
少しずつ振り出すタイミングが掴め、気づいた時には高い打点で打てるようになっていきます。
最後に
トスの位置は、テニスのサービスにおいて非常に重要な要素です。身体の仕組みやスイングの流れを理解し、トスの位置を適切に確認することで、サービスが劇的に向上することでしょう。段階的な練習を通じて、トスの位置への理解を深め、あなたのサーブがゲームの勝敗を決定する一因となることを願っています。
トスを制する者は、サービスを制します。ぜひこの方法を実践して、あなたのゲームを次のレベルへ引き上げてください!