
「この練習、意味あるのかな…」と思う瞬間
部活やクラブでスポーツを続けていると、誰でも一度はこう思うことがあります。
- 練習してるのに、うまくなってる気がしない
- 何のためにこの練習やってるのか、よくわからない
- 頑張っているのに、評価されないし結果が出ない
でも、そう感じたときこそ「練習と成長のつながり」を見直すチャンスです。成長は、試合での成果結果が出ると実感しやすいですが、成果結果に辿り着く前の途中段階でも、何がどのように変化しているかを確認しながら取り組むことで、成長を実感できるとともに、今の成長度を確認することができます。
この記事では、「練習に意味が感じられない」「成長の実感がない」と思ったときにどう考えればいいか、スポーツの現場でよくある例を交えて、やさしく解説します。
「練習に意味がない」と感じてしまうの2つの原因と対策
① コーチや先生の意図がわからない
コーチが決めた練習に取り組むとき、「この練習、何のためにやるの?」と思うことはありませんか?
たとえば「走り込みをしよう」と言われたとき、「ただキツいだけ」と感じてしまえば、練習の意味は見えません。ですが、だからといってせっかくの練習の時間を「ただこなすだけ」になっては、もったいないものです。
➡️ このようなときは、自分なりに意味づけをしてみましょう。スポーツにはさまざまな要素があり、「体の使い方」「距離やタイミングの感覚」「判断や戦術理解」「メンタルの強さ」が必要になります。
もしかしたら、あなたが見えていない、自分にとって必要な要素がコーチや先生には見えているのかもしれませんし、もしそれがわからないとしても、自分なりに「この練習はどれを高めるためのものか?」と考えてみることで、自分なりの目的を持って、せっかくの時間をいかに有意義にするかを考えてみてはいかがでしょうか。
② 成長のスモールステップが見えていない
練習をただこなすだけになり、一つ一つの練習が自分の試合での成果にどうつながっているかが明らかでないと、今取り組んでいる練習が成果につながっていない感じがして、意味がないと感じてしまいます。そのように取り組んでいると、「この先に何があるの?」と不安になり、不安になるからこそがむしゃらに取り組んでやりすぎてしまうことさえ起きてしまいます。また、「頑張った量しか見ていない(がんばった時間や疲れ)」「すぐに目に見えやすい結果が出ると思っている」と、「これだけやっているのに結果が出ないから意味がないのではないか」と思ってしまいます。
成長は、いきなり大きく飛躍するわけではなく、むしろ、小さな変化の積み重ねがほとんどです。目に見えやすい成果結果を出すためには、気づきづらいかもしれませんが小さな成果結果がきちんと出ているかを確認しながら取り組みましょう。
たとえば:バスケットボールのシュート練習
「入った/入らない」で成長を判断してしまいがちですが、シュートが入るためには、
- ボールの回転が整う
- 腕の動かし方が正確
- フォームのばらつきが少ない
といった、様々な要素が関係してきます。どれか一つがうまくいったとしても、他の要素がうまくいかなければ「入った」という結果にはなりません。
ですので、せっかくある要素が改善したとしても、「入らない」という結果になってしまうことは起こり得ることです。そのようなときでも、これらの小さな成果結果が出ていることを見失わずに、成長を実感しながら取り組むことが、自分のモチベーションにもなると同時に、自信につながります。
💡俯瞰する視点や細かく見る視点については、こちらの記事も参考にしてください:
👉「成長の構造」をどう見るか?
成長を実感するための3ステップ
ステップ①|目標を小さく分ける
「試合で勝ちたい」「レギュラーになりたい」など大きな目標は大切ですが、毎日の練習では、「その目標に向かう途中にある小さな目標」をつくりましょう。
例:卓球
- 大きな目標:カットマンの強いドライブに安定して対応する
- 小さな目標:
- 強いドライブに対しての軌道を正確に予測できるようにする
- ドライブボールに対して打ち返す技術を身につける
- 予測を素早く行い、余裕をもって対応できるようにする
このように、段階に分けて考えることで、「今はこの段階なんだ」と自分の位置がわかり、一つずつ階段をあがるように目標に対して進んでいる実感が得られます。
💡「原因と結果」についての考え方は、こちらの記事も参考にしてください:
なぜ努力が報われないのか?──原因と結果をつなげて考える視点
ステップ②|練習の中で「できた/できない」を明確にして、自分で判断する
一つ一つの段階に分けたら、その一つ一つの段階で何をもって「できた」とするのか、はっきりとさせましょう。内容にもよりますが、数字や結果といったわかりやすいものがよいでしょう。できるだけ今取り組んでいる段階に沿った細かい結果を設定し、練習中に「自分の判断基準」を持つことで、成長を実感しやすくなります。
例:バレーボールのサーブ練習
- 「何本入ったか」だけではなく…
- トスの高さが毎回同じ高さにあげられているか?
- 体が連動して動かせているか?
- 同じ動きを再現し、コースを安定させられているか?
など、自分で判断できるチェックポイントを持っておくと、「今日はこれができた!」という実感につながります。
ステップ③|「できた」を積み重ねて、次のステップへ
一度「できた」からといって、それで終わりにせず、何度も成功できるようにしていきましょう。小さな「できた」が何度も重なると、「成長してるかも!」という感覚が自然と生まれます。
また、もしも「できた」とまで思えない場合には、その原因を分析しましょう。特に「できている時」「できていない時」を比較し、毎回できるようにするために何が必要かを分析し、それをさらに練習のテーマとして設定してみましょう。
例:野球の打撃練習
- 「ヒットを打つ」ために、「タイミングを合わせる」ことを目標にしているが、うまくできない
→「タイミングが合う」ときは、ボールのスピードやコースを予測できているが、合わないときはどのようなボールになるか予測があいまい
→ピッチャーが投げたら、すぐにコースを予測する(ただし予測が外れることも想定する)ように取り組む
こうした細かいポイントが積み重なることで、「できた」実感を感じられるようになります。
💡練習の組み立て方については、こちらの記事も参考にしてください:
👉上達の近道は遠回りに見える——小さな結果を積む理由
まとめ|練習に意味がないと感じたら…
もしも、練習に意味がないのでは、今やっていることに自信が感じられないとしたら、成長のための何かヒントを得ることができるチャンスかもしれません。以下のようなことを振り返ってみましょう。
- 練習の意味がわからなくなったら、自分で意味をつくる
- 成長の実感がないときは、量ではなく質を見直す
- 大きな目標を小さく分解し、スモールステップで取り組む
- 練習内容と成長がどうつながっているか、自分で“見える化”する
練習に意味があるかどうかは、「あなたがどう取り組むか」で変わります。毎日の小さな達成が、確実に成長につながっています。