成長する反復 vs 成長しない反復:違いはどこにある?

多くの競技者は「反復=上達」と信じて、毎日のように繰り返し練習に取り組んでいます。しかし、どれだけ時間をかけても思うように変化しない、試合で再現できない、という悩みを抱える人は少なくありません。

反復そのものは悪いわけではありません。問題は、その“反復の質”にあります。本記事では「反復の質が成長をどう左右するのか」「成長する反復と成長しない反復の違い」を軸に、動きの変化をつくるための考え方を整理します。


変化のない反復は、これまでの動きを強化するだけ

多くの人が「たくさん練習すれば上手くなる」「とにかく回数をこなせば精度が上がる」と考えています。部活動でも、社会人でも、長い時間をかけて反復を続けることが“努力の証”として扱われがちです。しかし、精度の悪い動きやミスの出る動きをそのまま繰り返すと、脳はその動きを“正しいもの”として記憶してしまいます。

たとえば、その動きが効率の悪い動きであれば、その効率の悪さそのものが強化され、精度の悪い動きであれば精度の悪さが強化されます。つまり、意志の強さや気持ちだけで「ミスしないように」「集中しよう」と踏ん張っても、身体の動きが変わっていない限り、結果として同じ動作が繰り返され、その動きがさらに強固になります。

脳は、動作を始める前に必ず「こう動くはずだ」「こういう結果になるはずだ」という予測モデルを作っています。そして、結果が予測とズレてミスになったとしても、そのズレが“動きのどの部分に起きたのか”“何をどう修正すれば良いのか”といった手がかりが身体から入ってこない限り、脳は動きを更新するメリットを感じません。原因が分からないまま大きく動きを変えることは身体にとってリスクが高いため、脳は安全策として**「今までの動きを維持する」**という選択をとります。

つまり、

  • ミスは出たけれど、ズレた理由が分からない
  • どこで動きが崩れたのかが分からない
  • 結果(入った/入らない)しか情報として残らない

こうした状態で、そのまま反復を続けると、今の動きのプログラムがむしろ強化されてしまいます。

ここで多くの競技者が取りがちな行動は、

  • 気持ちで頑張る
  • 集中力で何とかしようとする
  • 「次こそミスしない」と意志だけで踏ん張る

といった“精神面での補正”です。しかし、脳は“意志”だけでは動作を変えることができません。必要なのは、身体のどの部分がズレたのかという、具体的で感覚的な情報です。これが脳に届かない限り、動きは変わらず、努力を続けていても成果につながらない状態が続いてしまいます。

その結果として、

  • 直したいフォームや癖がそのまま固定化される
  • 新しい動きを獲得するための手がかりが生まれない
  • ミスの原因やズレが、むしろ強化されてしまう

といった状況が起きてしまいます。


反復の質を変えるためには、「結果の良し悪し」だけでなく、動きのどこでズレが生まれているのかを理解する視点が欠かせません。
こうした“原因と結果のつながりを整理する方法”は、こちらの記事でも詳しく解説しています。
👉️上達する人が実践する原因と結果の考え方


反復には2種類ある:獲得の反復と、定着の反復

これまで見てきたように、反復をただ繰り返すだけでは、誤った動きやズレたままの動きがそのまま強化されてしまいます。では反復練習は不要かというとそんなことはありません。どのように反復すれば、動きが変わり、成長につながるのでしょうか。

ここからは、反復練習を“どのように行うか”を理解するうえで欠かせない、2つの反復の性質について整理します。習と言っても、その目的は大きく2つに分かれ、それぞれで「必要な反復のあり方」が異なります。この2つを適切に使い分けられるかどうかが、成長のスピードと質を大きく左右します。

(1)新しい動きを“獲得する”反復

精度やスピード、力強さを改善し、ミスを減らすためには、どの動きをどのように変えていくのかという“具体的な動作”を獲得したり、改善したりする必要があります。そのために、どの動きをどう変えると改善をするのか、反復練習をしながら探索をすることで、正しい新しい動きが獲得できます。

反復練習としては、

  • どこの動きをどう変えるかを具体的に決め、試しながら、
  • 新しい動きが一回一回試行できるように、時間・回数・スピード・場所などの条件を調整し、
  • 改善した動きが実践できていて、かつ期待する結果に結びついているかどうか、

を確認しながら取り組みます。ここで大切なのは、これまでの動きをただ反復しても意味がないという点です。

特に、身体は意図した通りにはすぐに動いてくれず、無意識のままでは必ず“これまでの動き”に戻ろうとします。そのため、意図した動きで本当に動けているかどうかを一回一回確かめることが欠かせません。そのため、その意図した動きを実際に再現させるために、時間・回数・スピード・場所などの条件を調整し、新しい動きが毎回試行できるような環境づくりが不可欠になります。

ここでの反復の目的は、”今までの動き”を繰り返すことではなく、改善したい動きが実際にできているか、そしてその動きが狙った結果につながっているかを毎回確認しながら、少しずつ“新しい動き”を探していくことにあります。


新しい動作は、一度にすべてを変えようとしてもうまくいきません。
“1つの小さな変化”を積み重ねるスモールステップの方法は、こちらの記事で具体的に解説しています。
👉️「できない」を「できる」に変える練習法


(2)新しい動きを“定着させる”反復

新しい動きをある程度獲得したあとは、再現性を高め、身体に定着させるための反復が必要になります。

ただ、身体にはこれまでの動きが刷り込まれているので、身体は“すぐにこれまでの動きに戻りたがる”という性質を持っていることを理解しておく必要があります。そのため、獲得段階では、とにかく新しい動きを実行できる環境を作ることが最重要になります。

焦って練習の難易度を上げてしまうと、身体はすぐに元の動きに戻ってしまい、新しい動きが試せなくなります。だからこそ、まずは新しい動きを実行しやすい条件――スピード、時間、距離、打点、回数など――を整え、きちんと新しい動きができているかどうかを確認しながら丁寧に繰り返すことが大切です。

そして、慣れてきた段階で、少しずつ条件を難しくしていくことで、より複雑な状況でも新しい動きが保持されるようになります。こうして段階的に条件を調整することで、新しい動きを維持しながら、最終的に試合でも発揮できるレベルに育てていくことができます。

成長しない反復とは何か?(よくある落とし穴)

これまでの内容では「反復がうまくいかない理由」を説明してきましたが、ここでは “成長しない反復とは何なのか” をより具体的に整理し、次の章で扱う“良い反復”との差を明確にします。

成長しない反復の本質は、単に「同じことを繰り返す」だけではありません。もう一歩踏み込むと、次の3つの特徴が重なったときに、反復練習は成長から遠ざかります。


①「動きを変える意図」が反映されていない反復

  • 何を変えたいのか目的が曖昧
  • どこの動きをどう変えたいのかが明確になっていない
  • 結果(入った/入らない)だけを追いかける

この状態では、新しい動きの試行が1球ごとに生まれず、体はこれまでの動きのまま反復を続けてしまいます。


② 誤差を手がかりにできない反復(=探索が起きない)

  • ミスをしたときに「なぜミスしたのか」が分からない
  • 良い時と比較して、どこに違いがあったかがわからない
  • ミスすら“ただの結果”として処理される

この状態では、脳は「動きを修正すべき材料」を受け取れないため、新しい動きを生成しません。結果として、今ある動きが強化され続けます。


③ ずっと同じ条件やメニューで行われている反復

  • 同じスピード、同じタイミング、同じ距離、同じ回数、同じ難しさ、同じ緊張度、といった同じ内容で行われている
  • 何を改善させたり、変化させる練習なのか不明確なまま続けている

この状態では、新しい動作を試したり、あるいは新しい動きを実戦に向けて定着させるような道のりが作れていません。


■ 成長しない反復のまとめ

成長しない反復とは、

「意図がない」×「ズレを扱えない」×「条件が変わらない」

この3つが揃った反復です。

これは単なる“悪い練習”ではなく、むしろ身体にとっては「現状維持の成功体験」を積み重ねてしまう練習になっています。


質を高める反復の方法:スモールステップで“変化”をつくる

では、どのようにすれば反復の質を高められるのでしょうか。鍵となるのは「スモールステップ」です。

スモールステップのポイント

  1. できている部分とできていない部分を分ける
  2. 1ステップ=1課題に絞る
  3. ゆっくり・小さく新しい動きを作る
  4. 観察 → 仮説 → 試す → 微調整の循環を作る
  5. できた瞬間の感覚を数回固定する(=定着へ移行)

このプロセスを回すことで、脳は「新しい動きが必要だ」と判断し、神経系の更新が進みます。


反復の質を高めるには、“観察→仮説→試す→微調整”の循環が欠かせません。
このループ構造をどの練習にも使える形でまとめた記事がこちらです。
👉️練習に取り組むときに意識したい3つの視点|焦りをなくす観察→問い→再構成の流れ


ケース別に見る「反復練習の設計例」

ここでは、反復練習を“ケース別”に整理し、各ケースでの代表的な競技例を紹介します。どのケースでも共通するのは、①変えたい動きが明確、②新しい動きを試せる条件調整、③段階的な負荷設定 の3つです。


● ケース①:フォームを改善したい(新しい動きをつくる段階)

例:テニス(フォアハンド)

  • ゆっくりした簡単な球出しを行う。
  • 改善すべき動きを意識しながら実践する
  • チェックポイント(できている判断基準)
    • 改善すべき動きができているか
    • 改善した動きが実践できたうえで、意図した結果が出ているか
  • 段階的発展(具体例)
    • ① ゆっくりの球で動きを実践し、意図した結果が出るような動きを獲得
    • ② 少し動きのある球を出してもらい、その状況でも同じ動きが実践でき、かつ、意図した結果が出ているか確認
    • ③ 球出しで動きと結果が安定して出てきたら、ラリーでの実践へ。
  • 崩れたときの調整例
    • 簡単な球出しでも改善すべき動きができない → まずは素振りで動きづくり
    • 改善すべき動きができているのに意図した結果が出ない → 実践すべき動きが違う可能性があるため、改善すべき動きを変更して実践
    • 動きのある球出しやラリーになるとできない → できる条件とできない条件を整理し、中間の条件を考えて実践する

● ケース②:フォームを安定させたい(定着フェーズ)

例:バスケットボール(ジャンプシュート)

  • 動きが実践できて意図した結果も出ている
  • 成功を積み上げるながら、試合で実践できるように条件を重ねていく
  • チェックポイント
    • 改善すべき動きが常に実践できている
    • 実戦に近い緊張度のときに、動きが変わらずできている
    • 条件を難しくしたときに、改善すべき動きが変わらずできている
  • 段階的発展(具体例)
    • ① 近距離で安定して入るようになる
    • ② 近距離で、連続◯球と目標設定して実践する。
    • ③ 入らないときに、何が原因かを、入るときと比較して振り返り、意識しながら取り組むことで動きを改善し、目標達成する
    • ④ ドリブル追加やディフェンス追加、といった条件を追加する
  • 崩れたときの調整例
    • 改善すべき動きが実践できていない → 条件が難しくなったり、緊張度が増した時に、練習の目的を再確認して取り組む
    • 目標設定すると達成することにのみ意識が向く → あくまで正しい動きができることでうまくいく、という考え方を確認する
    • 設定した目標が達成できない → 注目している要素以外に、改善するべき要素がある可能性が高いため、他の改善点を探す

● ケース③:精度を上げたい(誤差を減らす)

例:サッカー(ショートパスのズレ修正)

  • ズレの原因を反復練習の中で探求し、改善する
  • 改善した原因を定着するまで実践する
  • チェックポイント
    • できるだけ原因が特定しやすいような単純な練習を行い、その中で生まれるズレを確認する
    • 原因と思われる要素を実践し、結果につながっているかを確認する
    • 改善する原因が定着するまではその原因に絞り込んで実践する
  • 段階的発展
    • ① ズレるときとそうでない時で何が違うのかを比べながら実践する
    • ② 原因と思われる要素を改善しながら実行できた時に、結果が出ているかどうか、確認する。もしも結果が出ていないときも、それが原因と思われる要素以外の要素であった場合には気にしない。
    • ③ 原因と思われる要素が定着するように実践する。もしもまだズレが出たとしても、原因と思われる要素ができている時は気にしない。
    • ④ 定着してきたけれども、まだズレが出ていたら、①から繰り返し、他の要素を改善する
  • 崩れた時の調整例
    • ズレるときとそうでない時の違いがわからない → よりゆっくりの動きで実践して、動きを観察しながら実践する
    • 反復しているが改善している感じがしない → 原因と思われる要素が改善しているときに安定性が増しているかどうか確認する
    • 直ったと思ったけれど、実戦になったら同じミスをした → 定着するよう繰り返し同じ条件で反復し、定着してきたら条件や緊張度を増していく

● ケース④:動作スピードを上げたい(高速化フェーズ)

例:野球(守備の捕球〜送球動作)

  • 捕球〜送球動作のどこで無駄な時間が生まれているかを観察する
  • 動きの改善を意識しながら反復する
  • 改善した動きが崩れやすい局面を特定し、段階的に条件をあげる
  • チェックポイント
    • 無駄な時間を特定し、改善すべき動作が明らか
    • 改善すべき動きを修正した動きでの反復練習ができていて、動きが滑らかで速くなっている
    • 改善した動きが崩れやすい局面で実践できているか
    • 良い動きと悪い動きの違いを身体感覚で理解できているか
  • 段階的発展(具体例)
    • ① ゆっくりの打球で、捕球〜投球動作を行い、改善すべき動きを特定する
    • ② ゆっくりの打球で、改善すべき動きが修正された動きで反復練習を行う。結果として、動きが速くなっているか確認する。
    • ③ 動きが崩れやすい局面を切り取った練習メニューを考えて実践し、改善した動きを実践する
  • 崩れたときの調整例
    • 改善すべき動きがわからない → 捕球〜投球動作までの動きを時間を細かく区切って観察して特定する
    • よいときとそうでない時の違いがわからない → よりゆっくりの動きで実践して、動きを観察しながら実践する
    • 崩れやすい局面になるとうまくできない → 崩れやすい局面の難易度を少しずつ難しくして実践する

● ケース⑤:力強さを出したい(パワー獲得フェーズ)

例:バドミントン(クリアショット)

  • “強く打つ”ではなく、“正しく力が流れるフォーム”をつくることで結果として強く打てることを理解する
  • 改善すべき動きを特定し、それを実践しやすい条件づくりから始める
  • チェックポイント(できている判断基準)
    • 改善すべき動きができているか
    • 改善した動きが実践できたうえで、力強く打てているか
  • 段階的発展(具体例)
    • ① ゆっくりのシャトルで動きを実践し、力が伝わっているかを確認
    • ② 力強く打つように体を動かし、力の伝わり方が変わらずに打つ
    • ③ 少し動きのあるしゅシャトルを出してもらい、その状況でも同じ動きが実践でき、かつ、力が伝わっているか確認
    • ④ ラリーなどでの実践へ。
  • 崩れたときの調整例
    • 簡単な状況でも改善すべき動きができない → まずは素振りで動きづくり
    • 力強く打とうとするとうまく力が伝わらない → 動きが変わってしまっていないか観察する
    • 改善すべき動きができているのに力強くできない → 実践すべき動きが違う可能性があるため、改善すべき動きを変更して実践
    • 動きのあるシャトルやラリーになるとできない → できる条件とできない条件を整理し、中間の条件を考えて実践する

● ケース⑥:判断を含めて実戦に近づけたい

例:バスケットボール(ドライブの判断)

  • 判断+動作が両立するよう、負荷を段階的に構造化
  • チェックポイント
    • 簡単な練習で動作ができているか
    • 判断に基づいた対応が整理できているか
    • DFを見て的確に判断ができているか
    • 判断が遅れたときの理由(迷い/視野/情報量)が自覚できているか
  • 段階的発展(具体例)
    • ① DFの対応に対して、パターン別の対応と動きを整理する
    • ② DFが特定パターンで動くように設定して、各パターンで的確に判断を行いそれに基づいた動きが実践できる
    • ③ DFの動きをランダムのパターンで動くように設定し、それぞれのパターンに基づいた判断と動きが実戦できる
  • 崩れたときの調整例
    • 判断が遅れる → 送れた理由が、気付きへの遅れや観察の不足・整理不足、等、どこにあったのか特定する
    • 動作が崩れる → 動きを行う時の意識がどこに向いていたのかを振り返り、同じ状況での意識の向け方を改善する
    • 視野が狭い → 視野が狭くなる時、どこに意識が向いていたのかを観察する

● ケース⑦:ミスが続く・崩れる(成功条件の再設計)

例:長距離走(フォームが崩れる局面)

  • ミスや崩れは“精神の弱さ”ではなく“成功条件の不足”である
  • チェックポイント
    • ピッチ(接地リズム)が一定か
    • 上体のブレが少なく、腰の位置が落ちていないか
    • 呼吸リズムが乱れすぎていないか
  • 段階的発展(具体例)
    • ① ピッチが維持できたら距離を+200m
    • ② 距離が伸びても姿勢が安定していたら、ペースを+5〜10%上げる
    • ③ ペース×距離が両立したらレース強度に段階的に近づける
  • 崩れたときの調整例
    • 姿勢が崩れる → 距離を短くし“姿勢維持ができる距離”に戻す
    • ピッチが乱れる → ペースを落とし、リズムを優先
    • 呼吸が苦しい → 小休止 → 短い距離へ戻し → 再積み上げ

—:判断を含めて実戦に近づけたい

例:バスケットボール(ドライブの判断)

  • 判断と動きが同時に崩れるため、難易度を上げる順番を構造化して実践する
  • チェックポイント
    • DFを見ながら動作の最初の一歩が安定しているか
    • 判断が遅れたときに、原因(見えていない/迷い/情報過多)が分かるか
    • スピードが上がっても視野が狭くならないか
  • 段階的発展(具体例)
    • ① ゆっくりのDF相手に、正しい判断が続けて3回出せたらスピードを10%上げる
    • ② 判断×動作が両立したら、DF2枚の状況へ発展
    • ③ 2枚DFでも判断→動作が繋がったら、実戦形式(3対3・5対5)へ
  • 崩れたときの調整例
    • 判断が遅れる → DFのスピードを戻し、判断要素を1つに絞る
    • 動作が崩れる → 判断なし(コーン抜きなど)で動作を再獲得
    • 視野が狭い → “顔を上げるポイント”を決めて練習

● ケース⑦:ミスが続く・崩れる(成功条件の再設計)

例:長距離走(フォームが崩れる局面)

  • ミスや崩れは精神の問題ではなく“成功条件が整っていない”ことが多い
  • フォームができているケースが多い場合には、緊張度や負荷の高い練習の中で精神面のコントロールを反復練習する
  • チェックポイント
    • ミスや崩れるポイントは、簡単な条件であればできているか
    • 負荷や緊張度を上げたときに、精神面が動きにどのように作用して、動きがどう変わっているか観察する
    • 呼吸のリズムが極端に乱れていないか
  • 段階的発展(具体例)
    • ① 正しい動きが簡単な条件の練習でできる
    • ② 負荷をあげたり、条件を厳しくしたときに正しい動きができている
    • ③ レースに近い強度や緊張度にして正しい動きができているか実践する
  • 崩れたときの調整例
    • 負荷をあげるとすぐに動きが崩れる → 負荷を下げた状態で正しい動きができているかを確認して、少しずつ負荷を上げる
    • 負荷や緊張度をあげたときに動きが崩れる → 動きがどのようにどのくらいの負荷で崩れるのかを整理し、その条件での反復を行う中で動きの再現性が高められるようにする

● ケース別の共通ポイント

ケースが違えば練習設計は変わります。しかし共通するのは、改善すべき動きがまず実践できる状態をつくり、それを崩さない範囲で条件を調整していくことです。反復の質を決めるのは、量ではなく“成功条件の設計”です。

  • 改善すべき動きが実践できる“成功条件”を先につくる(=できる条件に下げる)
  • そのうえで、改善した動きが再現できているかを毎回確認する
  • 再現できてきたら、スピード・距離・判断などの条件を1つだけ変えて段階的に難しくする
  • 条件を上げた結果、改善すべき動きが崩れたら“どの条件で崩れたか”を特定して戻す
  • 各ケースに応じて「獲得 → 定着」の順に練習構造を組み立てる

まとめ

反復練習で成長するためには、ただ量をこなすのではなく、**「変化をつくる段階」と「安定させる段階」**を明確に分けることが重要です。まずは条件を下げ、改善したい動きが確実に再現できる環境を整える。そこから少しずつ負荷を上げても崩れないように、成功体験を積み重ねていく。このシンプルな流れが反復の質を決めます。

上達のカギは「どこをどう変えるか」をはっきりさせ、その動きを実行できる条件を丁寧につくることです。量ではなく、質を高める反復が成長を加速させます。

まずは今日の練習で、“変えたいポイントを1つだけ決める”ところから始めてみてください。


反復の質を変えるには、動きを“どう見るか”の視点も重要です。
観察の仕方が努力の質をどう変えるのかは、こちらの記事で詳しく扱っています。
👉️観察で努力と結果が変わる。観察からはじまる上達の循環


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