「練習ではできるのに試合でできない」を抜け出すメンタル強化術

「練習ではできるのに、試合になるとうまくいかない」。そんな経験はありませんか?

毎日の練習ではできているはずの動きが、本番になると体が思うように動かない。努力しているのに結果につながらない。この壁にぶつかると、多くの人は「緊張に弱い」「自分には勝負強さがない」と思いがちです。

でも、その原因は才能やメンタルではなく、練習の中での向き合い方「1回1回をどのように扱っているか」「本番を意識した練習になっているか」という、取り組み方の質をあげることで改善ができます。この記事では、試合で実力を発揮できるようになるためのメンタル強化をテーマに、“その1回”の扱い方を見直します。

うまくなることと強くなることの違い

多くの人が、努力を重ねて上達していきます。でも、その上達が実際の「本番」で頼れる力になっているか、一度立ち止まって考えてみてください。
ここぞというチャンスの場面では、「絶対に決めたい」「失敗したくない」という思いが強くなるほど、緊張や不安が訪れます。その背景には、「次のチャンスが必ず来る保証がない」と考えており、だからこそ、「この1回を確実に決めなければならない」と思うのです。

どれだけ技術的に上達しても、「できるときもあればできないときもある」状態では、本当に必要な瞬間に力を発揮できません。
大切なのは、どんな条件でも、今できることは、「いつでもできる」状態をつくること。その積み重ねが、どんな状況にも動じない「強さ」である緊張に強くなるメンタルを育てていきます。

強くなるための練習

「いつでもできる」状態を作るには、たとえば「連続で10回成功したら終わり」というように、プレッシャーのかかる条件をあえて設定します。途中で1回でも失敗すれば最初からやり直しとします。 本番と同じような緊張感の中で、集中を切らさずに“毎回成功させる”感覚を体に刻むことが目的です。

このような練習設定を行うことで、本番で実力を発揮するための集中力の高め方を身につけることができます。試合の緊張と似た状況の中で成功体験を積むことで、「いつでもできる」状態を作り、心と体を試合モードに整える“メンタル強化”につながります。

こうした練習では、「なかなかクリアできない」けれど、集中力を保ち続けないといけないため、頭の中にはストレスがかかっています。ストレスがかかると気が散ったり、集中できなくなる状態になります。技術の土台ができてきて、そして負荷を乗り越える力がないと、できない練習でもあります。

このように、練習中に意図的にプレッシャーを作り出し、”地味だけど実は負荷のかかる練習”で、「できないこと」としっかり向き合って取り組むことが、メンタル強化の第一歩です。

このような練習に取り組むとき、起こりがちなケースを整理し、その上でどのように心がけて臨むと試合で実力を発揮できるメンタルが整えられるのか、考えてみましょう。

ケース①:「クリアすればOK」と捉えてしまうタイプ

  • 課題練習を“終わらせる”ことが目的になっている
  • 成功回数や結果だけを重視し、内容を振り返っていない
  • 「できた」かどうかで判断し、どうできたかを観察していない

真面目に取り組んでいるものの、目的が「その場で成功すること」になってしまうケースです。その結果、「試合の場で使える技術」「自分の目標とするレベル」にまで落とし込めず、実戦でも縮こまった動きになってしまいます。

ただ単に練習をクリアすることが目的ではなく、試合で緊張した場面でも自分のプレーができることが目的であることが大切です。単に「できた」と終わらせず、「自分のプレー」と「できた」が両立できているかどうか、そのためにどうしたらよいかを問い続けることが、真の成長につながります。

改善のポイント

  • 成功を「試合で通用するレベル」で判断する
  • クリア条件を「自分のプレーをしながら、連続でできる」と設定する

ケース②:集中が続かないタイプ

  • ミスや失敗に気を取られ、テーマに集中できない
  • ミスや失敗で気持ちが揺れ、集中力が落ちる
  • 「こんなにやってるのに」「もう少しなのに」と気持ちが焦る

「うまく見せたい」「失敗を避けたい」という無意識の欲求、そして「努力したのに報われない」という感情が、意識を“今”から外へと向かわせます。結果や評価に意識が傾くと、脳は課題そのものへの集中を失い、1回1回の取り組みが「練習」ではなく「評価を得るための行動」になってしまいます。

集中が切れたときこそ、「できない」ことにストレスを感じている証拠であり、強くなるためのチャンスです。そのようなときこそ、1回1回ていねいに取り組み、自分のテーマに集中してみましょう。また、一回一回心がけるべきことを準備して取り組み、まずは次の一回だけ集中して取り組み、それが終わったらまたただ次の一回だけ集中して取り組む、そうしてただ目の前のことだけを考えてみましょう。


“その1回”を扱う質の高い練習についてはこちらの記事もご参照ください。
👉️「「効率的な練習」に取り組む人が陥りがちな落とし穴とその抜け出し方」


改善のポイント

  • 「今この1回」に意識を戻すトレーニングを行う
  • 結果よりも「どう取り組んだか」を記録し、意識の向きを可視化する
  • ミスをしたときは「なぜできなかったか」を感情ではなく観察として整理する

ケース③:クリアしたいあまり、もとの動きに戻ってしまうタイプ

  • 新しい動きではなく、確実にできる“やり方”に戻してしまう
  • 失敗を避ける意識が強く、挑戦よりも安定を優先する
  • 練習中はできていても、試合では安全策に切り替わり、変化が出ない

「成功させたい」「うまく見せたい」という思いが強いと、脳は“失敗のリスク”を避けようとします。結果として、これまでの“慣れた動き”を使うことで安全を確保しようとするのです。しかし、これは一時的な安心に過ぎず、本番ではこれまでと同じプレーになり、結果を大きく成長させることはできません。

「クリアすること」「自分のプレー」のどちらかではなく、それを両立させることがゴールであり、そのために試行錯誤する姿勢で取り組みましょう。常に『試合で通用するかどうか』を基準にして臨むことで、試合で実力を発揮でき、自信を持てる自分が育めます。

改善のポイント

  • 成功と同時に“挑戦の質”を評価する
  • 「自分のプレーをする」と決めたうえでどうすればそれでクリアできるか、試行錯誤する

働きかけ:毎回必ず準備を徹底して取り組む

強くなるための取り組み方のポイントは、「準備」と「集中」にあります。まず、練習前に前回の失敗や課題を整理し、「同じミスを繰り返さないための準備」を必ず行いましょう。そして、取り組むときには整理したことを意識しながら取り組みます。取り組みが終わったらすぐに振り返り、次の1回に臨むときには必ず整理して準備をして意識をしながら取り組む。このサイクルを毎回丁寧に繰り返すことで、試合で安定して実力を発揮できるメンタルが整います。

  1. 準備:前回の失敗を整理する。
  2. 実行:整理したことを意識しながら取り組む。
  3. 振り返り:意識しながら取り組めていたか振り返り、新たな学びがあればそれも含めて整理して準備する。

このサイクルを必ず徹底して、意識が抜けて取り組むことが無いようにしましょう。

ポジティブに考えて、自分に可能性があると信じることはもちろん大事です。ですが、今の自分の技術力を正しく捉え、失敗する可能性がある自分だからこそ、そうならないようにしっかりと準備を整え、失敗する事態が起きないようにどうすればよいか最大限の注意を払いながら取り組む。その意識があるからこそ、集中力が高まり、ミスを防ぐための行動や判断が自然とできるようになります。前向きな気持ちを持ちつつも、冷静にリスクを受け止めて対策を講じることが、結果的に失敗を生まない一番の方法なのです。

ときには「これだけやってるのに」「まだできない」と感じ、集中力が途切れることもあるでしょう。ですが、そうした瞬間こそが本当の成長のチャンスです。心が乱れたときほど、準備・実行・振り返りのサイクルを守った毎回の積み重ねが、確かな強さを育てていきます。


「本番で実力を発揮できない」「緊張に弱い」と感じるあなたへ。メンタル強化について解説したこちらの記事もぜひご覧ください。
👉️メンタルが変わらない理由と、メンタル強化の秘訣

練習の1回1回を集中して取り組み、失敗を繰り返さないための粘り強さを育てたい方はこちらの記事も参考にしてください。
👉️挫折しない目標達成の鍵は「集中」と「粘り強さ」


まとめ

メンタル強化とは、特別な精神論ではありません。プレッシャーのある状況で、どう準備し、どう集中を保つかを繰り返し練習することであり、きちんと練習をすれば強くなっていくことができます。ポジティブな気持ちを持ちながらも、現実的に失敗の可能性を受け入れ、それを防ぐために準備を重ねる。その姿勢こそが、緊張に強くなり、結果を安定して出せる自分を育てていくのです。


メンタル強化に関連する記事はこちらも参考にしてください。
👉️ミスを味方にするメンタル立て直しの方法
👉️緊張を力に変える方法:心より動きに意識を向ける


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